シネマチックな映像表現にするには-LogとLUTについて-

みなさまこんにちは、Film.hmです。


先日映画館で「亜人」を見てきました。みなさまご覧になりましたでしょうか。綾乃剛さん、佐藤健さん最高にカッコよかったです。ただ今回お話ししたいのはそれではなく、映像の ”色” の話。まずはこの画像をご覧ください。

(https://www.youtube.com/watch?v=82B-a_vdpdYより)


この映画をまず見て思ったのは、映像が “極端に青い” こと。青や赤といった色を強調すると映画っぽい色合いになることが知られていますが、ここまで青を強調した映画は初めて見ました。この映画の緊迫感とクールな印象に合致した素晴らしい色使いでした。


こんな自由で繊細な色が表現できたら一気に"プロ感"を演出できるようになることは間違いありません。こんな “色表現” について、今回は非常に簡単となってはしまいますが解説させていただきたいと思います。


1. “Log撮影”について


まずは下の写真をご覧ください。

【Logで撮影した画】

【Logで撮影した画に色相補正を行ったもの】

photo/ camera : sony α6500, lens : sigma contemporary f1.4mm


Logという設定で撮影した動画及び写真は、コントラストや彩度が浅く見える傾向にあることが見ていただけたかと思います。Log撮影というのは、通常の撮影よりも情報量を多く記録しておくことのできる撮影方法のことです。


そもそもなぜLog撮影をするのか。最初は私もとても疑問に思っておりました。後で色を調整するならもともとの色は関係ないのではないかと。しかし、実際にLogで撮影してみるとその有用さを痛感いたしました。とにかく色の調整がしやすい。Log撮影では記録された情報量が多いために、色相を調整をした際に色つぶれやノイズが起きにくく、よりイメージにあった繊細な色の調節を行うことができました。


イメージにマッチした色の表現というのはとても重要です。動画や写真は進歩を続け、もはや現実のそのままの色を表現できれば良いという時代ではなくなってきています。その顕著な例が最初に取り上げさせていただいた映画「亜人」。映画中の緊迫感や冷血さを孕んだストーリー展開に、青という色が臨場感を与え、 見ている者に興奮を与えてくれる素晴らしい表現だったと思います。


同じような色の例として紹介したいのが、"ハリーポッター"。誰もが知っているこの映画も非常に暗い色を基調とし、グリーンが強調されたミステリアスな世界観が表現されています。このように、色というのはストーリーに統一感を持たせることや、その動画のイメージを効果的に含ませることが可能となります。


(Harry Potter and the Prisoner of Azkabanより)


補足:panasonicではv-log、sonyではs-log、djiではd-logと呼ばれていますが、同じようなものと捉えてしまって問題ないかと思います。


2.  ”LUT”について

Adobeさんのphotoshopやpremiereのソフトを使う場合、多くの人はカラーバーを用いて色温度やコントラスト、露光量を調節しているではないでしょうか。


カラー補正はとても重要で、細かい色調整はやはりここでしていかなくてはなりません。しかし、このような調整は非常に多くの時間と労力がかかってしまいます。そこで私たちが非常に重宝しているのが、この ”LUT” 。百聞は一見に如かずということでまずは、下の画像をご覧いただきたいと思います。

【camera-rawフィルターでの補正のみ】

【camera-rawフィルターでの補正+LUT】

photo/ camera : sony α6500, lens : sigma contemporary f1.4mm, model : hiraku DOI


【camera-rawフィルターでの補正のみ】

【camera-rawフィルターでの補正+LUT】

photo/ camera : sony α6500, lens : sigma contemporary f1.4mm, location: Eitaibashi, Tokyo, Japan


LUTとは、すでにある一定の画像処理が施されるようにプログラムされたデータ構造のことで、今回当てたLUTは "M31-Rec.709.cube” というもの。上の画像と比較すると、下の画像は青と赤が強調されたテイストになっていることが感じられると思います。


LUTは有料のものから無料でダウンロード可能なもの、もともとpremiereやphotoshopに入っているものまで様々です。今回当てたM31というLUTは最初に触れた映画亜人のようなシャドーに青みがかかった色を表現するのに適しており、簡単にシネマティックな色合いを表現できることから非常に重宝しております。しかも、なんと嬉しいことに以下のリンクから無料ダウンロードが可能です!



Free Cinematic LUTs Pack for Video Editing

https://filtergrade.com/free-cinematic-luts-video-editing/



リンクからLUTがダウンロードできたら、以下の手順で画像にLUTを当てることができます。

Ⅰ. photoshopの場合

レイヤー > 新規調節レイヤー > カラールックアップ > 3D LUTを読み込み > M31-Rec.709.cube(自分の入れたいLUTを選択)


Ⅱ. premiereの場合

ファイル > 新規 > 調節レイヤー > (タイムラインへ挿入) > lumiteriカラー > 基本補正 > LUT設定 > 参照 > M31-Rec.709.cube(自分の入れたいLUTを選択)

※プロジェクトの枠を選択してからでないと新規調節レイヤーを作成できないのでご注意を!


あとは、細かい色素調整をcamera-rawフィルターや色相・彩度などで調節して完成です。みなさまも是非お試しください。


今回の解説は、LogとLUTのいろはの部分にしか触れることができませんでしたが、今後追って詳しく解説させていただこうと思いますので、ぜひご覧ください。それでは!


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